広告を配信するうえで欠かせない要素の一つに「ターゲティング」があります。自社の商品やサービスに興味のあるユーザーに適切に広告を表示するための重要な機能です。
ターゲティングには複数の種類があり、プラットフォームやキャンペーンタイプによって仕様や活用方法が異なります。この記事では Google 広告にフォーカスして、ターゲットを設定するうえで押さえておきたいポイントを解説していきます!
ターゲティングとは、広告の目的に合致するユーザーを絞り込むための機能です。
誰にでも等しく広告を配信するのではなく、商品やサービスに興味・関心を持つ可能性の高いユーザーへアプローチすることで、ターゲティングしない場合と比べてリアクション(例:クリック率)やアクション(例:購入)される可能性を高めることができます。
Google 広告では、主に以下のターゲティング手法が利用可能です。
- オーディエンス
- コンテンツ
- 曜日、時間帯
- 地域
- デバイス
オーディエンスは、ユーザーの興味関心や行動履歴など「人」に対してターゲティングするときに使用します。コンテンツは、特定のテーマに沿ったウェブサイトや動画などの配信したい「掲載面」について指定することができるターゲティングです。
そのほか、配信する曜日や時間帯を指定する広告スケジュールの設定、配信する/しない地域を指定する地域ターゲティングや、ユーザーが使用しているデバイスに対してターゲティングを行う方法などがあります。
それぞれのターゲティングについて詳しく見ていきます。
まず、各ターゲティング設定の中には「どんな人か」「どんな配信面か」を指定する分類がたくさん用意されています。これをセグメントといいます。
「人」に対して行うオーディエンスターゲティングのセグメント(分類)は、オーディエンスセグメントです。この中にはユーザーの興味関心・購入意欲にかんする項目が細かく分類されているので、広告グループでそれらを指定していくことで意図したユーザー群をターゲットできます。
ただし、キャンペーンタイプによって利用できるオーディエンスセグメントに制限があるので注意が必要です。利用する際は以下の表を参照してください。

- アフィニティセグメント ユーザーの習慣や興味関心に基づいてリーチします。「スポーツ、フィットネス」「ニュース、政治」「メディア、インターネット」「美容、健康」のように大きく分類され、さらに細かくした項目に分かれています。(例:スポーツ、フィットネス > スポーツファン・健康、フィットネスマニア)
- 購入意欲の強いセグメント ユーザーの最近の購入意欲に基づいてリーチします。「アパレル、アクセサリー」「アート、工芸品」「イベントのチケット」「ギフト、行事」に分けられており、さらに細かくした項目が分けられています。(例:アパレル、アクセサリー > アウター、コスチューム、シャツ・トップスなど)
- カスタムセグメント 関連性のあるキーワード、URL、アプリを入力することで、意図にあったユーザーが自動的に選択されてより精度の高いターゲティングが可能です。
・キーワード:関連するキーワードを入力することで、関心を持っているものや購入意欲のあるユーザーに広告が表示される「これらのいずれかの興味 / 関心や購入意欲を持つユーザー」と、ユーザーがGoogleサービス(Google.comやYouTubeなど)で使用している検索語句を入力することで、指定した語句と類似語句で検索したユーザーに広告を表示する「Googleでこれらのいずれかのキーワードを検索したユーザー」の2通りから選択できます。
・URL:ターゲットとするユーザーが訪問しそうなウェブサイトのURLを入力することで、そのURLと類似したウェブサイトを閲覧しているユーザーに広告が表示されます。
・アプリ:ターゲットとするユーザーが使用しそうなアプリの名前を入力することで、そのアプリと類似したアプリをダウンロードしているユーザーに広告が表示されます。 - データセグメント
・ウェブサイトを訪れたユーザー、アプリユーザー、YouTubeユーザー 過去にウェブサイトやアプリ、YouTube動画にアクセスしたことのあるユーザーにリーチします。
・顧客リスト 既存顧客リストからユーザーにリーチします。
・Googleアナリティクス Googleアナリティクス4からインポートされた、Google 検索、YouTube、その他のGoogleサイトを経由して、以前にウェブサイトを利用したことがあるユーザーにリーチします。 - 詳しいユーザー属性 「子供の有無」「配偶者の有無」「教育」「住宅所有状況」「就業状況」の条件で絞ってリーチします。
- ライフイベント 「マイホームの購入」「大学卒」「定年退職」「引越し」などの状況に合わせたユーザーにリーチします。
参照元:Google 広告ヘルプ「オーディエンス セグメントについて」
つづいてコンテンツセグメントです。「人」に対するオーディエンスセグメントとは異なり、「配信したい面」を指定してターゲティングする手法がコンテンツセグメントです。
ディスプレイ広告、動画広告、デマンドジェネレーション広告で利用できます。
- キーワード YouTube やウェブサイト、アプリ上で設定したキーワードに関連するコンテンツを閲覧しているユーザーに広告を表示できます。
- トピック 関連する動画、チャンネル、ウェブサイト、アプリに広告を表示できます。 トピックは「アート、エンターテイメント」「インターネット、通信」「オンラインコミュニティ」「ゲーム」などがあり、それぞれがさらに細かく分けられています。(例:アート、インターネット > イベント情報、エンターテイメント業、オンラインメディアなど)
- プレースメント(ウェブサイトの URL、YouTubeチャンネル・動画、モバイルアプリ) 設定すると、特定のウェブサイト、アプリ、動画に広告を表示することができます。
オーディエンスセグメント、コンテンツセグメント、およびユーザー属性は組み合わせて使用することができます。
セグメントの組み合わせ方によって、ターゲットする条件が異なるため注意が必要です。組み合わせはコンテンツターゲットが設定可能なディスプレイ広告、デマンドジェネレーション、動画広告で適用されます。

参照元:『いちばんやさしいはじめてのGoogle広告の教本』
上記の表のとおりですが、せっかくなので管理画面のキャンペーン作成画面でセグメントの組み合わせがどのように異なるのかを確認してみました。
※この検証では最適化されたターゲティングをオフにした状態で測定しています
例えば、あるコスメブランドが美容に関心のある女性にアプローチする広告を作成する場合を考えてみます。ターゲティングはどのような組み合わせになるでしょうか。

上記では、オーディエンスセグメントは、アフィニティの「美容、健康」を選択しました。すると、画面右側に推定リーチ数として獲得可能なインプレッションが表示されます。このときの表示回数は「100億以上」となっています。

続いて、先程選択したアフィニティに加えて、購入意向の「美容、パーソナル」を追加し、オーディエンスセグメント同士を組み合わせました。獲得可能なインプレッション数の変化はありませんが、「最終更新以降 + 60億」と表記が増え、オーディエンスセグメント2つを OR 条件で組み合わせることにより、リーチ数が増加したことがわかります。
次に、コンテンツセグメント同士を組み合わせた場合も確認していきます。
以下では、トピックで「メイク、化粧品」のみを選択しています。この時点では獲得可能なインプレッションは「 1.9億」です。

次に、トピックに加えてコンテンツセグメントの「キーワード」を追加してみます。すると、トピックのみ選択している状態と比べると獲得可能なインプレッションは + 2000万増加し「2.1億」になりました。

このように、オーディエンスセグメント同士やコンテンツセグメント同士の組み合わせは、組み合わせたセグメントのどちらかを含む、またはどちらも含むユーザーにリーチされることがわかります。(OR条件になります)
対して、オーディエンスセグメント、コンテンツセグメント、ユーザー属性のそれぞれ異なるセグメントを組み合わせたときの推定リーチ数を確認していきます。
オーディエンスセグメントは先ほどと同様にアフィニティの「美容、健康」のみを選択した状態で、新たにコンテンツセグメントの「トピック」で「美容、フィットネス」を追加しました。

すると、獲得可能なインプレッション数は「12億」となり、オーディエンスセグメントのみを選択していたときと比べて大幅に減少しました。(なんと −87億!)
「オーディエンスセグメント同士」や「コンテンツセグメント同士」であれば組み合わせは OR 条件になるのでリーチが増えますが、「オーディエンスセグメントとコンテンツセグメント」のような異なるセグメントを組み合わせると、指定した条件がどちらも当てはまるユーザーにリーチされることがわかります。(AND条件になります)
AND条件は異なるセグメント同士のかけ合わせ時の設定になるので、ユーザー属性でもあてはまります。
以下は、オーディエンスセグメント「美容、健康」とユーザー属性を組み合わせた場合ですが、性別を女性だけに絞った場合、オーディエンスセグメントのみの「100億以上」に対して「93億」となり、配信量が絞り込まれているのがわかります。

なお、ユーザー属性同士を組み合わせた場合は AND条件となります(例:45歳以上の男性)のでご注意ください。
統合セグメントは、オーディエンスセグメントを組み合わせて、意図的にアプローチしたいユーザーセグメントを作成したものです。
オーディエンスセグメント同士の組み合わせは基本的に OR条件になりますが、統合セグメントでは、AND条件での組み合わせを作成することも可能です。

組み合わせリストは、作成したデータセグメントを組み合わせて作るリストです。
データセグメント同士の組み合わせは通常だと OR条件ですが、組み合わせリストでは、作成時に「これらのオーディエンスセグメントのいずれか(OR)」「これらのオーディエンスセグメントのすべて(AND)」「選択したオーディエンスセグメント以外」の3つから条件を選択することができます。

ターゲティング設定で気になるのが「最適化されたターゲティングを使用する」という項目です。
この最適化されたターゲティングはデフォルトでチェックが入っているのでオンの状態になっています。これがオンになっていることによって、設定したターゲティングを通じてアカウントで目標としているコンバージョン等の成果が得やすくなるよう、ターゲティング自動的に拡張されます。

もし厳密にターゲティングしたい場合などでオーディエンスを拡張したくない場合は、忘れずにチェックを外しておきましょう。 なお、最適化されたオーディエンスをオフにしていても、選択したオーディエンスの項目をクリアすると再びオンの状態に戻ってしまうので、オーディエンスの項目を選択し直す際など注意が必要です。
ターゲティングは、「誰に」「どのような面に」「どんな状況で」広告を表示させるかを決めることができ、Google 広告の場合、ディスプレイ広告、動画広告、デマンドジェネレーション広告ではそれぞれ設定するターゲティングセグメントも異なります。
オーディエンスセグメントとコンテンツセグメントは組み合わせることができ、組み合わせ方によってリーチ数が変化します。一度で覚えるのはむずかしいかもしれませんが、管理画面で実際に試しながら進めると理解しやすくなるのでおすすめです。
効果的なキャンペーン運用のため、ターゲティングの仕組みを正しく理解しておきましょう!