ここ数ヶ月ほど、運動不足解消のために毎朝の散歩を日課にしています。
金沢は奥行きがある街なのでただ歩くだけでもわりと楽しいのですが、それでも毎日だと飽きがきてしまいそうなのでしばらくは自らにテーマを課して歩いていました。「用水コンプリートチャレンジ」「いいビル探しの旅」「空き物件探訪」などなど。
金沢は市中に名前のついた用水路が50本以上走っている隠れた水の都で、多くが暗渠ではなく開渠として街並みに溶け込んでいる、その筋?にはたまらない街です。町家のような古い物件もまだまだ残っていて、建物を見ているだけでも毎日何かしらの発見があります。
散歩習慣のおかげで、引っ越し直後と比べるとだいぶ土地勘がついてきた気がします。
いろんなところを散歩してみてわかったのは、金沢の街なかを流れる犀川の朝の気持ちよさは別格ということです。いい川です。テーマ散歩がある程度一巡したあとの次のステップとして、犀川沿いを散歩の基本コースとして定めることにしました。
地域の方の清掃ボランティアのおかげもあって、繁華街のすぐ隣を流れているにもかかわらずとてもきれいな環境が保たれている犀川ですが、毎朝歩くようになったことで実はけっこういろいろ落ちていることに気づくことになります。
特に人があまり歩いていない側道がどん詰まりになるエリアなどは意図的に捨てたであろうゴミもあって、気持ちいい川沿いの朝の散歩なのにいつもちょっとモヤモヤがたまります。そのモヤモヤが日々増えていくことに耐えかねて、散歩ついでにあまったビニール袋などでゴミを拾うことにしました。
せっかく散歩とゴミ拾いをセットにするので、モチベーション維持のためにピリカを始めました(正確には再開しました)。
ピリカはいわゆるゴミ拾いSNSで、東京にいた頃はたまにやってたのですが、仕事が詰まったり移住が重なったりしてしばらく離れていました。
ピリカは素晴らしいコンセプトのアプリなので語りたいことがいっぱいあるのですが、長くなってしまうので詳細は上記リンクから見てみてください。
それで、毎日歩いてゴミ拾いしていると、いつも同じ場所に同じゴミがあるパターンを発見することがあります。バラバラに捨てたり流れてきたゴミとは別で。
「あの橋の下にはオロナミンCの空き瓶があることが多い」みたいなことが分かってくると、そのゴミにかんしては不特定多数の誰かがたまたま捨ててしまったものではなく、特定の誰かの習慣の産物であるという推論ができます。
それがわかったからといって何をするでもなく、ただ拾って洗ってからびんゴミの収集日に捨てるだけなのですが、こういう法則みたいなのを発見すると他のことに敷衍したくなります。同じようなことは仕事でもよくあるよな〜、と。
もしこれがゴミ拾いではなく「開発フローの改善」や「広告成果の分析」みたいな仕事だとしたら、「不特定多数のたまたま」なのか、あるいは「特定の誰かの意図」なのかの違いは、大事な情報です。似た事象でも次のアクションが変わるからです。
この「似ているけど大きな違い」を判別しやすくできるのが、定点観測の効用なのだなと思います。
定点観測で(白々しく)思い出しましたけど、翔泳社さんのウェブサイト「ECzine(イーシージン)」さんのムックで何年も継続していた人気シリーズ「定点観測」が、装いも新たにウェブ版として2023年6月から復活しています。
その復活に合わせて、私も季刊誌時代から引き続き、小咄担当としてお邪魔させていただくことになりました。
定点観測の効用が「違いの判別精度」だとするならば、メガプラットフォームは対象として適切です。大数の法則にしたがえば試行回数のたびにデータは期待値に近づこうとしますので、データが大きな対象のほうが、外れ値への感度は徐々に上がっていくはずだからです。
散歩も連載もできるだけ長く続けていきたいと思います。新たなシリーズも引き続きどうぞよろしくお願いいたします!