2020年1月〜 居るのがつらくなくなるように

2020年も早速最初の月が終わってしまいました。早いものです。

個人的には、「2020年だー!」という気分より前に、2010年代ぜんぜん総括できてないやん!忙しいな!という気分が先にあります。なんなら総括する気にすらならない。そのせわしなさが今っぽいなあと思います。

多くの人は目の前の生活やスクリーンに向かって忙しい日々を過ごしています。だからこそ、時には少し長めの尺で、物事や時間を捉えてみたいものです。目の前しか見ないと近視になりますし、近視眼とはせっかちで大局観のない様子を揶揄する言葉です。

私は小学生の頃から近視なので、油断すると目の前のことばっかり見てしまいます。というわけで、目の前の忙しさに油断してインプットらしいインプットができなかった昨年の自分を反省し、今年からは読む本を増やすぞーと意気込んでいます。(別に暇になったわけではないですけど)

意気込んだ1月、何冊か読んだ中では、『居るのはつらいよ』がダントツに面白かったです。

居るのはつらいよ: ケアとセラピーについての覚書 (シリーズ ケアをひらく)

買ってから何年でも寝かしグセのある自分的には、比較的早く消化したほうかなと。今年はやるぞ。

本書はガクジュツ書ですが、精神科デイケアをめぐる物語の形式を採っています。語り口も巧妙でリズムがあって、分厚いけど読みやすいです。

著者の東畑さんは、この本が「日常の中のアジール(逃げ場)として機能してくれれば」と書いています。ケアの現場を通じてセラピーがあぶり出され、あぶり出されたセラピーはケアの姿をしています。デイケアという臨床の現場をめぐる物語は、書籍というかたちを借りて読者それぞれの人生を投影しているはずです。

ある人は自身のキャリアを、ある人は家族との向き合い方を、ある人は職場を思い、ある人は過去の思い出が記憶から蘇るでしょう。読書がそのままナラティブ・アプローチのセラピーでありケアである、物語と現実とが円環的な構造になっています。すげー。

やっぱり読書はいいものですね。このペースを1年通して続けられたらと思います。