Web担当者Forumの連載「インターネット広告創世記 ~Googleが与えたインパクトから発展史を読み解く~」が面白すぎる

タイトルで言いたいことはほぼ済んでしまうのだけど、2024年9月から始まっている Web担当者Forum(以下:Web担)の連載「インターネット広告創世記 ~Googleが与えたインパクトから発展史を読み解く~」という連載が面白すぎるので、そのことを書いておきたい。

時間を見つけてぜひ第1話(0話)からお読みください

この連載は「インターネット広告創世記」と書いてあるが、広告に限らず、インターネットの黎明期から日本のネットビジネスがどのような変遷を経てきたか、その一つの視点を提供するものになっている。

杓谷総研の杓谷氏と、弊社LIFTのアドバイザーを務めてくださっている佐藤康夫さんがモデレータ(あるいは語り部)となりつつ、さまざまなキーマンへのインタビューを交えながら進めていく連載になっている。お二人とも元 Google で、杓谷氏は Google Japan の新卒一期組、佐藤さんはその時の営業部門のトップという関係性だ。

お二人の対談形式に、その時々の象徴的なイベントや、渦中にいた方々が当時を思い出して語っていく構成は、とても臨場感がある。ちなみに筆者(岡田)は2001年に大学を卒業して社会人になり(新卒当時はエンジニアだった)、2003年の頭に検索広告を扱う分野に転職しているので、この連載でいえば、ちょうど佐藤さんが Infoseek から Google に移られてしばらくした頃、現在の Google広告の前身である AdWords(アドワーズ広告)が日本で開始された時期と重なる。

月刊 Web Creators 2002年12月号

ここからは単なる筆者の思い出話になるが、最初の転職先で運用型広告にハマり(当時はそんな呼称はなく、「リスティング広告」や「PPC」などと呼んでいた)、そのまま 2006年に Google へ転職することになった。

振り返ると、新卒の SIer から畑違いの広告代理店にすることになったきっかけは、雑誌だった。

書店でたまたま目にした「Web Creators」の2002年12月号の特集は、ウェブサイトの制作ノウハウではなく、サイトを作ったあとのアクセスアップについてのものだった。そこには、当時 Google Japan の実質トップだった佐藤さん(現LIFT顧問)が見開きでドーンと写真入りで紹介されていた。

画像はWeb担より

このページ。この構図。

20年以上経った今でも憶えている。

当時の私は勘定系のプログラムばっかり組んでいるうだつの上がらない24歳のエンジニアで、自分が開発領域で高いレベルに行けないことはすでにぼんやりとは分かっていた。たまたま顧客企業のエンドユーザーが使う画面を設計した際に評価がよかったことで調子に乗って、漠然と「開発から制作へ」「クローズドからオープンへ」と仕事を移していきたいと考えていた時期だった。

そんなモヤモヤした中で手に取ったのが、この雑誌「Web Creators」だった。デスマーチが鳴っているような労務環境が当たり前だった当時の自分にとって、ラバーランプのあるオフィスや、「広告」という表現が似つかわしくないサービス(当時の広告は画面占有するものだった)は異質で、キラキラして見えた。他の記事は一切憶えていないが、このページだけは何度も読み直した記憶がある。

記事を読んだ翌年の2003年に、転職した先のネット専業広告代理店が主催したセミナー(だったと思う)で佐藤さんに直接お会いしてから、現在に至るまでかれこれ20年以上目を掛けていただくことになるが、もちろん当時はそんなことは想像できるはずもない。人生とは不思議なものです。

連載第17話(2025年3月27日の回)は時期的にちょうどそのあたりの話。最後に Web Creators も出てくる

AdWords から Google 広告へ

筆者が Google で働いたのは 2006年から 2011年までの約5年という短い期間だったが、AdWords という革命的なプロダクトに関われたのはただただ純粋に嬉しかった。

あの頃に受けた衝撃は、以下の記事でも振り返っている。

ちなみに AdWords は、2018年の7月に現在の「Google 広告」という名称に変わっている。改名を境に何かが大きく変わったというわけではないが、AdWords という単語に含まれる「Words(言葉)」を軸にした広告、つまり検索連動型広告やキーワードターゲティングという文脈だけでなく、当時から既にディスプレイや動画なども含めた統合的なプラットフォームへと変貌していたことへの、事後的な追認という意味も込められているのだろう。

そしてこの頃から、Google はそれまでよりも強く自動化に舵を切ることになる。

既にこの段階で広告オークションは機械学習による自動化を極めつつあったし、あらゆるところに AI の活用を模索してはいたが、それを全面に押し出すようになってきた(と同時に自動化の抵抗になるものはどんどん排除しはじめた)のもこの時期だ。

そして現在どうなっているのかは、見ての通りである。

振り返ってみると、セルフサーブや品質の導入などで広告というものに革命をもたらしたのが AdWords で、革命後に覇権を握って専制政を敷いているのが Google広告 だという見方もできる。このあとどうなるかは歴史が教えてくれるかもしれない。


話がどんどん単なる思い出話になってしまった。年を取るのはよくないですね。

とにかく、この Web担の連載は本当に面白いので、当時を知らない方にも、いや、だからこそオススメしたい。

インターネット広告は、何も無いところから僅か 30年で世界のあり方を変えてしまうほどの市場を築いたと言っていい存在だ。この記事は(穿った見方をすれば)極東のある地域での出来事をなぞっただけとも言えるかもしれないが、当時の日本は世界でも重要なマーケットの一つで、Google が最初の海外進出を東京に定めたように、極東のある地域は、インターネットの歴史の中で確かに大きな一端を担っていたのだ。

それを、当時のパイオニアたちが試行錯誤した物語として追体験できるのは稀有なことだと思う。続きが本当に楽しみです。