2019年12月〜 立ち上げはムズカシイ

いやー、師走でしたね。

暖冬ではありますがいよいよ冬到来ということで、今月からトップページも冬仕様に切り替わりました。引き続きイラストレーターのたざきたかなりさんにお願いしています。
 
たざきさんの絵は、写真に撮れなかった一瞬の思い出が、写真でないがゆえにぼんやりとポジティブに描き出されるような感じがして、好きなんです。

 

ところで、先日より人生で初めてまともな大型水槽にチャレンジしております。(大型といっても90cmですが)
 
幼少の頃にも実家の大型水槽でフナやらクチボソ(モツゴ)やらの淡水魚を飼っていた経験はありますが、ちゃんと水草で生態系をつくるのは初めてで、当初の想定以上に水槽の世界はむずかしく、奥深く、クリエイティブなのだと、まだ僅かですが足を踏み入れてみて分かりました。当たり前ですが、相手は生き物です。一筋縄ではいかないですね。
 
まだ立ち上げて1ヶ月程度の素人なので滅多なことは言えないのですが、水槽というのは、なんとなく会社や事業の立ち上げと共通する部分があるなと思います。
 
たとえばこんな感じで雑な10カ条がパパっと思いついちゃうくらいです。
 
———-
(1)理想から逆算する
(2)ハードは後戻りできない
(3)金とリソースの出しどころを間違えない
(4)小さいときや、初期の方がむずかしい
(5)運用が命
(6)隠れた功労者がいる
(7)地味なやつほど仕事をする
(8)思ったとおりにいかない
(9)時間軸を勘定に入れる
(10)常に何かが足りない
———-
  
まず「(1)理想から逆算する」ですが、これは目指す水槽の姿が決まらないと、そこへの設備投資も採用方針も何もかもが決まらないということです。生体メインであれば組み合わせを考えないといけないですし、水草メインであれば適正水温やph値のバランスを考えないといけません。細かな部分は後からいくらでも微修正が利きますが、大枠は最初に決まりますので、ここをちゃんとデザインしないと壮大にスベってしまいます。
 
「(2)ハードは後戻りできない」も上記と似たような感じで、箱の大きさがそのまま生態系のサイズを決めます。選ぶ市場や目指すビジョンで箱のかたちが変わるのもビジネスと相似形のように感じたりしますね。もちろんそれより低いレベルの話でも、たとえば90cm水槽だと、水だけで150リットル(150kg)、水槽と専用台でそれぞれ30kgずつくらいはありますので、ぜんぶで200kgオーバーの物体を一度設置するとその後は移動するだけでも難儀です。ハードは決めたら後戻りできません。
 
「(3)金とリソースの出しどころを間違えない」も大事です。専用台はサイズさえ合っていればそれほどモノによる違いはないので廉価なものでいいですが、濾過フィルターやLEDライトは生命線なので慎重に良いものを選ぶべきです。ここで小金を惜しむと後で大きな後悔が待っています。お金もリソースも限りがあるからこそ、力の入れどころを間違えないように気をつけねばなりません。
  
「(4)小さいときや、初期の方がむずかしい」は物事の真理だなと思います。小さい会社ほど一人ひとりの影響度が大きいのと同じで、小さい水槽ではちょっとした変化で環境が激変するので運用の難易度が上がります。会社も水槽も立ち上げはむずかしく、安定するまでは気が抜けませんし、安定しないことはすなわち状況が悪化していることを意味します。ああこわやこわや。
 
「(5)運用が命」、これも真理ですね。毎日のちょっとしたメンテナンス、定期的な清掃や水換え、環境のモニタリングが運営を左右します。外からは同じように見えても、中の環境は刻一刻と変化していますので、その変化に合わせて適切に対処していかないと、あとから「こんなはずじゃなかったのに…」となってしまいます。
 
「(6)隠れた功労者がいる」は、水槽こそ、こういう影の主役に気付いてケアできるかどうかが会社の成長に大きく関わるというメタファーなのではないかと思います。水槽の命運はフィルターにバクテリアがうまく定着できるかどうかにかかっていると言っても過言ではありませんが、その見えない存在である彼らに敬意を払えるかどうかで運用の方針が決まり、それがすなわち水槽の寿命も決めます。
 
「(7)地味なやつほど仕事をする」、これも会社ではあるあるではないでしょうか。水槽で最も人を悩ませる物体は大量発生するコケですが、そのコケに有効な生体の代表格はヤマトヌマエビ、サイアミーズフライングフォックス、オトシンクルス、ブラックモーリーと、どいつもこいつも地味でかわいい小役たちです。派手な魚の方が水槽自体は映えるんですけどね。どちらがいい悪いではなく、それぞれの役割の違いということなのでしょう。
 
「(8)思ったとおりにいかない」、これは生き物を扱っているから当たり前といえば当たり前ですが、会社も水槽も、何事も思ったとおりにはいかないです。立ち上げ初日は水槽自体が白濁してひとり絶望していました。常に試行錯誤して、学びながら、改善を繰り返していくしか道はありません。
 
「(9)時間軸を勘定に入れる」は、重要な視点です。水槽はその時点で完成形というものはなく、常に先の状況を見越して現在をレイアウトしていきます。B/Sがその時点のスナップショットでしかないように、X軸に時間を置いて変化や傾きを観察していかない限り、水槽を管理できているとはいえないでしょう。経営も同じです。そういえば白濁も環境を整えたら2日で収まりました。時間とバクテリアよありがとう。
 
最後の「(10)常に何かが足りない」。満ち足りているという瞬間がないのが経営ですし、水槽もそれは同じです。もしそう思う瞬間があったとすれば、既にそこから衰退は始まっているのでしょう。常に変化をし続けることこそ、一度始めた者の宿命なのかもしれません。
 

常に何かが足りない水槽(特に前景)

 

以上、師走の忙しい時期に阿呆のような日記、長々と失礼いたしました!

2019年、本当にたくさんの方にお世話になりました。2020年も、引き続きどうぞ宜しくお願い致します。