2019年7月〜 アイデンティティが人を活かす

7月はなんだかんだでとても気忙しい日がつづきました。決めることがいっぱいあって疲れました。

誰しも、生きている以上は毎日何かを決めながら生きているわけですが、私の仕事は誰かの意思決定的のサポートだったり、あるいは広告運用まわりのあれこれが大半なので、何かを決めたり、決めたことを実行したり、決めていたことが変わったり、これから決めることを決めたりといった「決め」の瞬間が、比較的短いサイクルでやってきやすいです。レベルの大小(高低?)はさまざまあれど、日々目まぐるしく何かを決めているような気がします。

これまでもたくさんのことを決めてきたはずなのですが、何かを「決め」るのに、これほどまでに意識的になったのはつい最近のような気がします。なんでしょうね。(さっきからキメキメうるさくてすみません)

ほかにも、外部取締役として参画している企業が新たなステージに入ったり、久しぶりに海外に行ったり、父の二十三回忌があったり、週末はずっと海辺に居たりと、振り返ると7月はケよりハレに寄っていた月でした。総移動距離が長かったのも疲れた要因かもしれません。暑かったり寒かったり雨だったりで大変でしたよね。

話はかわって、書店でふと目が合って手にとった、ちくま学芸文庫の『アイデンティティが人を殺す』、たいへんおもしろかったです。2019年で五指に入るだろう読書でした。

アイデンティティが人を殺す (ちくま学芸文庫)

本書が書かれたのはEU前夜の1998年なのですが、その頃に見えていた景色と、20年あまり後の2019年の現在に広がっている風景とを重ねることで、著者の論旨に生まれる余白部分に書き込みをしながら読み進められるのが、読書体験として非常に面白かったです。

そして、アイデンティティ(Identity)という単語に初めて触れた10代の頃に感じたあの「理解のできなさ」や、そのあといつしか「理解したことにする」ボックスに放り込まれたままになっていた過程が、ページを読みすすめる中でどんどん掘り起こされていく感じも新鮮でした。20年と言わず、これからも時の経過に耐えうるテキストだと思います。

願わくば、自分もそういった類の何かを書いてみたいものです。