検索連動型広告で、キーワードのマッチタイプを「完全一致 < フレーズ一致 < インテントマッチ(部分一致)」と広げれば広げるほど利用頻度が上がりやすい「除外キーワード」。
自動入札とともに推奨設定とされるインテントマッチ(部分一致)は管理画面でも徐々に強制的な仕様に変わりつつありますし、2024年7月からはキャンペーン作成時に「部分一致キーワード」がデフォルトでオンになる仕様(手動でオフに切り替え可)に変わったこともあって、除外キーワードを使う機会はまだまだ増えそうな予感がします。
自動入札との組み合わせによってさまざまな検索語句に広告が表示されやすい状況にある現在、検索語句によって「似た言葉でも意図が異なる」ことが多い商材であればあるほど、除外キーワードの適切な利用が求められていくはずです。
もちろん除外のしすぎには注意が必要ですが、無駄な広告表示を減らし費用対効果を高めることにもつながる除外キーワードだからこそ、設定方法や気をつけるべきポイントなどを改めて振り返りたいと思います。
具体的な設定方法
まず、除外キーワードは「広告グループ」「キャンペーン」「アカウント」のそれぞれのレベルで登録できます。
除外したい範囲が局所的であれば(&アカウント構成が整っていれば)基本的には「広告グループ」単位の実装で事足りますが、それより広いレベルで共通の除外キーワードを登録したい場合は、キャンペーンやアカウント単位でまとめて設定することができます。
以下の図のように、アカウント単位で除外キーワードを登録するとそのアカウント内すべての範囲で適用され、キャンペーン単位で除外キーワードを登録するとそのキャンペーン内で適用されます。
キャンペーンもしくは広告グループ単位で除外キーワードを設定するには、Google 広告であれば、管理画面のメニュー [キャンペーン] の [オーディエンス、キーワード、コンテンツ] のなかの [検索キーワード] へ移動します。
[除外検索キーワード] のタブが出てくるので、ここに除外したいキーワードを追加します。 [追加先] でキャンペーンか広告グループのどちらの単位で設定するかを選択できます。
アカウント単位で設定する場合は、管理画面のメニュー [管理者] の [アカウント設定] から設定できます。[除外キーワード](一部日本語訳されていない場合があるので、その際は [Negative keywords] )にアカウント単位で除外したいキーワードを登録しましょう。
除外キーワード リスト
「出現頻度の高い別の意味の単語」や「競合他社のサービス名」など、いつも同じ除外キーワード群を使いたいのに個別に同じものを入力するのは面倒…という場合もあると思います。
そんな時は、除外キーワードをまとめてリスト化できる「除外キーワード リスト」がおすすめです。
Google広告であれば、[ツール] > [共有ライブラリ] > [除外リスト] の中で設定できます。キーワード以外にプレースメント(GDNなどの広告枠/ドメイン単位)を除外したい場合もこの画面の別タブから登録できます。
この除外キーワードリストをアカウントやキャンペーン単位で紐づけておくと、除外するテーマごと(共通除外ワード、競合他社名など)のリストに含まれる除外キーワードを更新すれば、紐づいているキャンペーン/広告グループにもまとめて適用される、という運用ができます。
規模の大きなアカウントであればあるほど便利だと思いますので、まとまった数の除外キーワードがある場合はぜひ活用してみてください。
除外キーワードのマッチタイプ
除外キーワードにもマッチタイプがあります。通常のキーワードは「広告をトリガーするための検索語句の範囲」をマッチタイプによって指定しますが、除外キーワードは「特定の検索語句が広告のトリガーにならないため」に指定します。
つまり、【トリガーしない検索語句の範囲】をマッチタイプによってコントロールするということです。
キーワードと同様に「完全一致」「フレーズ一致」「インテントマッチ(旧:部分一致)」の3種類があり、それぞれ検索語句の除外幅が異なります。
以下で、マッチタイプごとの具体的な例を挙げてみます。
例: 除外キーワード [白いギター]
- 検索語句: 「白いギター」 → 除外される
- 検索語句: 「白いギター 中古」 → 除外されない
- 検索語句: 「赤いギター」 → 除外されない
完全一致の除外キーワードは、設定したキーワードとまったく同じ検索語句に対してのみ除外します。この場合は「白いギター」という検索語句がそのまま使われた場合にだけ除外され、広告が表示されません。
例: 除外キーワード “白いギター“
- 検索語句: 「白いギター 中古」 → 除外される
- 検索語句: 「白いギター セール」 → 除外される
- 検索語句: 「赤いギター」 → 除外されない
フレーズ一致の除外キーワードは、指定したフレーズが検索語句の中に含まれている場合に除外します。この例では「白いギター」というひと続きのフレーズが検索語句に含まれていれば、広告は表示されません。
例: 除外キーワード ギター
- 検索語句: 「白いギター」 → 除外される
- 検索語句: 「赤いギター」 → 除外される
- 検索語句: 「ギターはレスポールしか勝たん」 → 除外される
- 検索語句: 「エレクトーン」 → 除外されない
インテントマッチの除外キーワードは、設定したキーワードが検索語句の一部として含まれている場合に広告が表示されなくなります。上記の例では「ギター」という言葉が含まれている検索語句には広告が表示されません。ちなみに筆者はテレキャスしか勝たん派です。
2024年7月に部分一致は「インテントマッチ」に名称が変更になりましたが、それによって特別何かが変わったということはなさそうです。Google広告のヘルプには、インテントマッチの定義を示したページがあります。
注意書きには「除外キーワードターゲティングは、この定義に含まれません。除外キーワードの部分一致の動作は、インテントマッチキーワードと異なります。」とあり、「キーワードのマッチタイプについて」ページへのリンクがあります。
リンクをたどっていくと除外キーワードの部分一致の挙動について書かれたページが表示され、
除外キーワードは、類似パターンやその他のパターンと一致しません。たとえば、部分一致の除外キーワードの「花束」を除外した場合、ユーザーが「赤い花束」を検索しても広告は掲載されませんが、「赤い花」を検索すると広告は掲載対象となります
参照元:Google広告ヘルプ https://support.google.com/google-ads/answer/2453972
というこれまでどおりの記載があるため、日本での名称以外の変更はなかったと考えて差し支えない?と思われます。通常のキーワードのマッチタイプとは異なり、類似パターンの拡張は引き続きされないため、必要に応じて類義語や表記ゆれ、誤字などの関連パターンも除外の対象にしておきましょう。
除外キーワードの選び方
設定の基本を踏まえたうえで、実際の運用時のポイントになるのはやはり「選び方」です。以下は一般的な選定方針になります。
- 広告と関連性が低い検索語句
同じ検索語句であれば同じ意味を表すとはかぎりません。同じ単語でも、状況や組み合わせによってまったく自社サービスや商品と関係のない文字列になることがしばしばあります。
たとえば楽器のECを営むサイトにとっての「キーボード」はエレクトーンやシンセサイザーなども含む鍵盤としての「キーボード」ですが、ゲーム用パソコンを扱うショップであればそれはタイピングしやすい入力デバイスとしての「キーボード」になるでしょう。
楽器店であれば「大文字になる」「反応しない」などのサジェストされやすい頻出フレーズはパソコン用のキーボードの可能性が高いので、もし検索語句として表示されるようであれば除外したほうがよいかもしれません。
- 費用対効果が合わない検索語句
明らかに意図と合わない検索語句で表示回数やクリック数が発生している場合には、その検索語句を除外キーワードとして登録します。
問題は、まったく意味が違うわけではないし、まったくコンバージョンしないわけでもないけど、そこそこ量があって費用対効果(CPAなど)が著しく低い検索語句です。
管理画面の[検索語句]で確認し、キーワードビューでキーワード横のチェックボックスにチェックを入れ[検索語句]をクリックすると、実際にユーザーによって検索された検索語句を見ることができますので、なるべく長い期間で確認してみてください。
「そこそこ量があってコンバージョンも僅かだけどあるが、結果として費用対効果(CPAなど)が著しく低い検索語句」は判断がむずかしいですが、もしかしたら除外するよりも「対象のキーワードを登録して、拡張CPCで低く入札する」だったり「フレーズ一致にして検索語句の幅を限定する」などのほうが現実的なやり方かもしれません。
明らかに的外れなものは除外してOKですが、そうでない微妙なものはいきなり除外しない、という考え方も持ち合わせておきたいですね。
- インフォメーショナルな(情報を探すことだけを目的とした)検索語句
情報収集のための検索語句(「ハンバーグ 作り方」や「費用対効果とは」など)は、一般的に検索ボリュームが多い反面、情報収集までがユーザーの目的であることが多いため、コンバージョンには繋がりにくいものです。
そのため、もしキーワードの拡張によってそういった検索語句に出ることが多ければ、除外キーワードの対象にしてもよいでしょう。
ただ、成果に繋がらなくとも認知度向上を目的としているケースや、オウンドメディアへの誘導などでは除外しない方がいい場合もあります。ディスプレイ広告のキーワードターゲットであればむしろ使いたい語句だったりもしますので、除外するかどうかの判断はキャンペーンの目的ごとにご判断ください。
そのほかの注意点
- ディスプレイキャンペーンの場合
除外キーワードの精度は検索広告より高くなく、登録している検索語句でも広告が表示されることがあります。(除外キーワードと完全に一致するトピックが除外されます)
また、ディスプレイキャンペーンと動画キャンペーンではすべての除外キーワードがインテントマッチとしてみなされてしまいますのでご注意ください。
- いくつめの検索語句までが除外キーワードとして認識されるか
商品名のコピペ検索など、非常に長い検索語句の場合、以下のような例外処理があります。
17 語以上からなるフレーズを検索しているユーザーが、17 番目以降の語に除外キーワードと同じ語句を使用した場合も、広告が表示される可能性があります。たとえば、除外キーワードに「割引」を設定しているとします。ユーザーが「LA ロサンゼルス CA ホテル 宿 ベッド 朝食 レンタル 上品 快適 清潔 部屋 ビーチ 近い 徒歩 リゾート 割引」で検索した場合、除外キーワードは 17 番目の単語であるため、広告が表示される可能性があります。一方、ユーザーが「LA ロサンゼルス ホテル 宿 ベッド 朝食 レンタル 上品 快適 清潔 部屋 ビーチ 近い 徒歩 リゾート 割引」で検索した場合、除外キーワードは 16 番目の単語であるため、広告は表示されません。
参照元:Google広告ヘルプ https://support.google.com/google-ads/answer/2453972
- 使用できる記号と使用できない記号
除外キーワードで使用できる記号は、アンパサンド(&)、アクセント記号(á など)、アスタリスク(*)の3種類です。
「, @ % ^ () = {} ; ~` <> ? \|.」のような記号を使用することはできません。
※記号がある場合とない場合ではそれぞれを別のキーワードとして扱われます。
無視される記号 ・ピリオド(.)
「Fifth Ave.」と「Fifth Ave」は同じキーワードとして扱われます。
プラス(+)
「青 + 車」の「+」は無視されるが「C++」だと無視されません。
サイト演算子などの検索演算子
キーワードの前についている演算子の部分が無視されます。
※マイナス(-)に関しては、マイナス記号以降のキーワードが無視され、「ダーク -チョコレート」の場合は「ダーク」と認識されます。
検索演算子はほとんど使用する機会がないかもしれませんが、万が一のために覚えておくといいかもしれません。
※検索演算子とは
Google Cloud Search で検索演算子と呼ばれる記号や特殊な単語を使用すると、探している情報を見つけやすくなります。検索演算子によって検索語句内の特定の属性との照合が行われ、より関連性の高い検索結果が表示されます。
参照元:Google広告ヘルプ https://support.google.com/cloudsearch/answer/6172299
広告で利用できるキーワードについてはこちらをご覧ください。
Yahoo!広告はどうなの?Google広告との違い
Google広告をメインで解説してきましたが、Yahoo!広告も同様の設定があります。(Yahoo!広告では「対象外キーワード」という名称になります)
以下の 2点は Yahoo!広告が Google広告と違う点です。
- Yahoo!広告では、対象外キーワードをアカウント単位で設定することができない ※2024年8月時点
今後は Yahoo!広告でもアカウント単位での設定が可能になることが予想されますが、この記事の執筆時点ではまだできません。もし Google でアカウント単位の除外を使っている場合は定期的に確認しておきましょう。
(ちなみにMicrosoft広告も除外キーワードを設定することができますが、Yahoo!広告と同様に今のところアカウント単位での登録はできないようです)
- ユーザーが11語以上の検索語句で検索をすると広告が表示されてしまう
Yahoo!広告では 11語以上の単語から成る検索語句の場合、11語目以降に除外キーワードが入力されていても広告が表示されてしまう可能性があります。
以上、除外キーワードについての解説でした!
適切に利用して、ムリムダの少ない運用を心がけていきましょう。