Googleが、YouTube のハロー効果を拡張させる3つの新機能(ブランド認知、ショッピング、音声)を発表

2022年10月17日、Google は YouTube の3つの新機能を発表しました。これは YouTube 自身が「YouTube Effect」と呼んでいるハロー効果(ある対象への評価が、別の特徴や傾向に引きずられて歪められる認知バイアスの一種)をより拡大させるための広告主向けの機能群です。

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リリースでは、「ブランド認知」「ショッピング」「音声」という3つ領域で追加されています。それぞれ順に説明していきます。

ブランド認知:Moment Blast(モーメントブラスト)

モーメントブラストは予約型の広告パッケージである YouTube Select に向けてプレミアムポジションを提供する機能です。これにはブランドタイトルカードやマストヘッドの追加展開(オプションになる模様)が含まれています。

ニールセンのデータでは YouTube は Netflix と並んでストリーミングの最大シェアを誇っており、一定以上の割合でコネクテッドTV(CTV)のようなリビングの大画面で見られていることから、モーメントブラストによってより一層のブランド認知を図ることができると説明しています。

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従来のテレビCMで活用されていたような、注目が集まるイベント、ドラマや映画のリリース、新製品の発売前後のプロモーションなど、特定の時期や時間帯に瞬間的に認知度を高めたい大手ブランドが対象になるかと思います。

ショッピング:商品フィードのディスカバリー&Shorts拡張

2022年10月以前から広告主は YouTube で製品フィードを使用できますが、商品フィードを利用した動画アクションキャンペーンは、商品フィードのない広告よりもショート動画上でのコンバージョンが平均で 70% 以上増加するといったデータがあるなど、動画アセットにおけるフィードの横展開は以前から Google が力を入れていた分野でした。

この流れを後押しするかたちで、ファインド広告に商品フィードが追加され、近日中(11月10日頃)にフィードにローカルオファーも含まれるようです。ファインド広告の主要な配信面は YouTube ですので、インストリーム広告以外のフォーマットでも動画ショッピングが拡張されていくということになります。

これにより、ユーザーは Google プロパティ上での商品購入がより直感的かつシームレスにできるようになりますし、広告主は Google Merchant Center に注力していくことによって広告効果を高めることができます。クリエイター側も動画や Shortsコンテンツに広告以外の収入源を付け加えることにつながりますので、動画市場におけるステークホルダー全員を巻き込んだ拡張性の高いフォーマット追加だと言えますね。

音声:音楽とポッドキャストへのターゲティング

最後は音声配信への広告展開です。Google 広告と Display&Video360(DV360)で、音声広告(オーディオ広告)を配信することができます。(こちらはグローバル同時展開なので日本でもできそうです!)

リリースでは以下のような記述がありますので、いわゆる作業用BGM や ASM R動画を視聴しているユーザーを束ねるターゲティングになるようです。

“Audio ads are designed to reach people on audio surfaces and in listening-first states.”

“オーディオ広告は、オーディオサーフェスや聴取優先の状態にある人々にリーチするように設計されています。”

https://blog.google/products/ads-commerce/the-youtube-effect-new-ways-to-reach-engaged-audiences/

併せて、ポッドキャストターゲティングもグローバルローンチになっています。リリースには特に詳細な説明がありませんが、おそらくは Google 広告で Google Podcast などの配信アプリプラットフォームが広告在庫になると考えられます。10月19日更新:どうやら広告在庫はYouTubeのみのようでした。つまり機能自体は以前と同じで、広告主の業種制限がなくなったという意味のようです。残念…

ハロー効果の拡張はつづく

YouTube の主要な閲覧デバイスがリビングの大画面からスマホの縦長画面までまんべんなく広がるようになり、コンテンツもCTVでの高品質ストリーミングから短尺の Shorts まで多岐にわたり、視聴態度も VR や 3D のような没入型から音声やポッドキャストのような”ながら視聴”までカバーするようになりました。

Google の持つプロパティがエンドユーザーの可処分時間におけるシェアを伸ばせば伸ばすほど、広告プラットフォームとしての拡張性は高まります。今回のブランド認知、ショッピング、音声といったそれぞれの分野における新機能の投入は、Google の持つ拡張性を活かしつつ、それぞれの分野での競合に対する明示的な牽制として機能していると捉えてよいかと思います。

本件の新機能はグローバル展開のものも多いので、一部は日本のメディア・プラットフォームへも影響が出てきそうですし、広告としての活用事例も徐々に出てくるでしょう。引き続きキャッチアップしていきたいと思います!