Google認定資格(検索広告)の解答を探す前に知るべき基礎知識

Google広告に関して一定の知識があることの証明として、Googleが提供している「Google広告の認定資格」。運用型広告を扱う代理店などでは、新人研修の一環として取り組まれるケースもあると思います。

ところが、Googleが用意している学習コンテンツはお世辞にも読みやすいとはいえず、試験結果も点数が表示されるだけでどこを間違えたのかわからないので、内容の難しさ以上に苦戦を強いられる人も多いです。

ちなみに「Google認定資格 〇〇広告」と検索すると上位に非公式で有料の”解答集”が複数出てくるのですが、解答を丸暗記するような勉強が実務的に意味をなすとは思えず、(また自分の学生時代の勉強を見ているようで、)見ていて辛い気持ちになりました、、、。

そこでこの記事では、読みにくい学習コンテンツを苦しみながら読んだり、解答を丸暗記するような勉強をしたりする前に、「この辺りの知識があると学習が進めやすいだろう」という内容を、該当箇所について筆者が読んで参考になった記事のリンクと共にまとめました。

認定資格は広告キャンペーン毎+αに用意されており範囲が広いですが、まずは多くの方が最初に受験するであろう「検索広告」にフォーカスしています。これから認定資格の勉強を始める方の一助となれば幸いです。

【おすすめ】いちばんやさしい Google広告の教本

この記事ではネットで読める情報を参考として紹介するようにしていますが、可能であれば本を一冊読んでおくことをおすすめします。

LIFTのブログでも紹介している『いちばんやさしいはじめてのGoogle広告の教本(インプレス)』では、 Google広告全体の基礎知識から広告キャンペーンごとの運用知識まで幅広く書かれており、特に業界未経験の方が認定資格の勉強を始める場合は、この本の該当箇所を一度読んでおくとその後のインプットが格段に楽になるはずです。

未経験者に限らずとも、Google広告を久しぶりに扱う際や、採用機会の少ない広告キャンペーンを実施する際など頼りになる本だと思うので、デスクに一冊置いてみてはいかがでしょうか(筆者もデスクに置いて時々参照させてもらっています)。

Google認定資格(検索広告)の学習を進めるための基礎知識

それではここから、当記事の本題である Google認定資格(検索広告)の学習を進める上で知っておくとよい基礎知識について説明していきます。

検索広告の概要

まずは、検索広告がどういうものかを確認しましょう。検索広告は、「検索連動型広告」や「リスティング広告」とも呼ばれ、ユーザーの検索結果にテキストで表示される広告です。

ユーザーが検索窓に打ち込んだ単語に対して、関連性の高い広告が表示されます(ショッピングを目的とする検索の場合は最上部に「ショッピング広告」が表示され、その下にテキストの検索広告が表示される)。

画像はGoogleの学習コンテンツより

つまり検索広告では、ユーザーが検索窓に打ち込んだ「単語」を手掛かりに表示する広告を決めているので、広告の管理画面側では、「どのような単語で検索されたときに広告を表示するか」をあらかじめ設定しておく必要があります。

Google広告では、この広告管理画面であらかじめ設定する単語を「キーワード」と呼び、ユーザーが実際に検索した単語を「検索語句」と分けて呼んでいるので、覚えておいてください。

キーワードのマッチタイプ

例えば、広告管理画面で「赤い シューズ」とキーワード登録した広告は、「赤い シューズ」と検索したユーザーの検索結果に表示されます。

では、「青い シューズ」と検索した場合はどうでしょう?

あるいは、「赤い 靴」「赤い シューズ 子供用」「シューズ NIKE」と検索した場合は、どうでしょう?

検索窓に打ち込まれる検索語句のパターンは、それこそ無数にあります。そのため、それぞれのキーワードにどれくらいの検索語句をカバーさせるかを広告の管理画面側で指示する必要があり、このカバー範囲を、キーワードの「マッチタイプ」と呼びます。

画像はGoogleの学習コンテンツより

マッチタイプは、カバー範囲が狭いものから順に「完全一致」「フレーズ一致」「インテントマッチ(旧:部分一致)」と呼ばれています。それぞれのカバー範囲の詳細はアナグラムさんの以下の記事が詳しいので、確認してみてください。

掲載順位の決まり方

さて、広告を表示させる「キーワード」を登録し、各キーワードにどれくらいの検索語句をカバーさせるかを「マッチタイプ」によって設定したら、めでたく広告が表示される、、、とは限りません。

多くの場合、自分と同じキーワードを登録している広告主はたくさんいるので、ユーザーが検索をしたその瞬間に「どの広告を検索結果に表示するか」というオークションが行われ、オークションに勝った広告が検索結果に表示されます。

画像はGoogleの学習コンテンツより

検索広告のオークションは、単純にいくらで入札したかではなく、入札価格に「広告の品質」を掛け合わせた「広告ランク」という独自の指標によって競われます(広告ランクを決定する要素は厳密にはもっと色々あるのですが、ここでは一旦割愛します)。

「広告の品質」とは、主には「推定クリック率」「広告の関連性」「ランディングページの利便性」によって決められる、検索ユーザーにとっての広告の有用性のことです。

Googleが検索サイトである以上、検索結果がGoogleの利用ユーザーから見てより良いものにしたいというインセンティブがあるため、ユーザーがクリックしそうで(推定クリック率)、検索した語句との関連性が高く(広告の関連性)、クリックした先のページでストレスの少ない(ランディングページの利便性)広告を優遇する仕組みとなっているのです。

広告ランクの考え方については、LIFTの以下の記事を読むと理解が深まるはずなので、 Google広告を学んでいる方には一読をおすすめします(本題の前提知識として書かれている部分ではありますが、「広告の品質」と「品質スコア」の違いや、実際に課金される額の決まり方などが理解できると思います)。

入札戦略について

入札戦略についても、簡単に説明しておきます(認定資格では、「〇〇を達成したいと思っている場合、入札戦略は何を選べば良いか」といった問題が出ますよね)。

オークションはユーザーが検索をするたびに即座に行われるので、オークションごとに人間が入札価格を決めるわけにはいきません。そのため、オークションのたびにシステムが入札を代行するのですが、この時の入札価格の決め方の方針を、「入札戦略」と言います。

以前はキーワードごとに上限入札価格を設定する「個別クリック単価制」が中心でしたが、現在はクリック数やコンバージョン数といった「重視している要素」を目標として設定すると入札価格が決定される、「自動入札」が一般的になっています。

キャンペーン作成時は「単価設定」という項目で設定します。

自動入札の中でも、アカウントのコンバージョンデータに基づいて入札価格を調整する入札戦略を「スマート自動入札」といいます。

スマート自動入札では、Webサイト側にタグを設置してコンバージョンを計測できていることが前提条件となりますが、同じ1クリックでもよりコンバージョンに繋がりやすいクリックを高く評価して入札価格を決めるため、理論上はコンバージョン効率が良くなりやすい入札戦略といえます。

一方で、入札価格の上限を管理画面側で設定できないため、入札価格が高騰しやすいというデメリットもあります。

その他、試験を受けるにあたって押さえておくと良いこと

ここまで書いたことを、参考として紹介した記事を含めて意味がわかるようになっていると、Googleの学習コンテンツおよび認定資格の問題が理解しやすくなっているはずです。

試しに再度試験を受けてみて、よくわからなかった部分をGoogleの学習コンテンツに戻って確認し直すと、比較的早く試験に合格できるのではないかと思います。

また以下の内容はこの記事では触れていませんが、認定資格の中では出題頻度が高いので、Googleの学習コンテンツ等で該当箇所を読んでおくと良いでしょう。

  • 最適化案と最適化スコア
  • パフォーマンスプランナー

最後になりますが、認定資格がGoogleの提供しているコンテンツである以上、「Googleが誘導したい書き方になっている可能性」も視点として持っておくことは大切です。

例えばGoogleは、この記事で紹介したマッチタイプと入札戦略について、マッチタイプをインテントマッチに、入札戦略をスマート自動入札にする設定を推奨しており、試験の中でも「この組み合わせで設定するとどんな良いことがあるか?」を答えさせるような問題がたびたび出てきます。

確かにこの組み合わせにすると、インテントマッチで少ない手間でより多くの検索結果に広告を表示させることができる(≒カバレッジが広がる)ので、情報が多く貯まることでAIによる機械学習が進み、スマート自動入札の入札制度が高くなるというメリットがあります。

ただ一方で、インテントマッチは意図しない検索語句に拡張して広告を出すため費用が増加しやすくなり、スマート自動入札は推定コンバージョン率に応じてオークションごとの入札単価が大きく変動するため、平均クリック単価が高騰しやすくなるという側面もあります。

いずれも要するに、広告主側からすれば「無駄遣いが増えるリスク」を孕んでいるわけですが、これはプラットフォーム側からしてみれば「儲けが増える可能性」でもあるわけです。

自動入札についてはこちらの記事もご参考ください

いち運用者としては、「プラットフォーム側の推奨設定を理解する=認定試験で正解を選ぶことができる」だけでなく、推奨設定を理解したうえでクライアントにとって適切な運用ができるよう、日々向き合っていきたいなあと思っています(一緒に頑張りましょう!)。