ツエーゲン金沢 辻尾さまインタビュー(2025年)

ツエーゲン金沢は、金沢市、野々市市、かほく市、津幡町、内灘町を中心とする石川県全域をホームタウンとする日本プロサッカーリーグに加盟するプロサッカークラブです。スタジアムがある金沢周辺だけではなく、能登から加賀まで、地域社会と一体となったクラブづくりを行い、サッカーをはじめとするスポーツの普及・振興、地域が抱える社会課題の解決にも取り組むホームタウン活動を継続的に実施されています。

LIFTは、ローカルサポート活動の一環としてツエーゲン金沢のオフィシャルパートナーとなっているほか、サポーターとしてスタジアムでの観戦、ブラインドサッカーやアカデミーを支援する「挑戦の芽基金」への寄付等を行っています。

2023年から毎年行っているインタビューの3回目、今回は同クラブのアンバサダーであり法人パートナー営業を担当されている辻尾さまをお招きし、ホームタウンである石川県への想いや、クラブ創立20周年の展望についてお話をお伺いしました。

ツエーゲン金沢 クラブアンバサダー
辻尾真二さま

インタビュアー
LIFT合同会社
代表 岡田吉弘

※このインタビューは2025年7月に行われました


昨年を振り返って

岡田:今年もお時間をいただきありがとうございます。例年シーズンが始まる前にお話させていただいていますが、今年はシーズン途中(7月上旬)でのインタビューになります。

昨年(2024年)は元旦の大地震、そして秋には能登の豪雨被害があり、クラブとしてもサッカーに集中し 1 年での昇格を目指すというミッションと、同時に復興にも心を向けていくという、たくさんのものを背負いながらの 1 年になりました。

そして 2025年になり、復興はまだまだ道半ばですし、チームとしても残念ながら 1 年での J2 復帰はならず、J3 での 2 年目を迎えることなりました。

辻尾:そうですね。まずチームでいうと、1 年での J2 復帰を目指していましたから、能登をはじめとした石川県の皆さんにもよい結果をお届けできず、2024 年は非常にしんどかったなというのが正直なところです。

岡田:一方で、新スタジアム開幕の年でもあり、多くのお客さまがツエーゲンを観てくれた年でもありました。

辻尾:まさに、スタジアムの効果もあって、ありがたいことに営業面では過去最高の収益を出すことができました。そこはポジティブに捉えてよい要素だと感じています。

岡田:降格するとスポンサーや来場者数が減って経済的に難しくなることが多いと思うのですが、タイミングとしてちょうどサッカー専用の新スタジアムの運用開始と重なって、観戦体験は以前よりだいぶ向上しました。結果的に過去最多の入場者数を記録しましたよね。

辻尾:はい、入場者数はコロナ前の水準を越えました。ありがたいことにスポンサーさんも増えています。

岡田:さすが敏腕営業マン!

辻尾:いやいや(笑)、私の力ではないです。ツエーゲンの試合を観てお問い合わせしてくださる方もいらっしゃいますし、スポンサー企業さんからご紹介いただいたりと、たくさんの方に支えられています。営業に関してはもっと力を入れていかないといけないので、引き続きがんばりたいと思います。

岡田:個人的な意見ですが、スポンサーの数は、地元の企業や市民の方々に応援してもらえているバロメーターでもあると思います。もちろん限られたリソースで営業だったりフォローしないといけないのでスタッフの皆さんは大変ですが、ぜひスポンサーの輪も広がってほしいです。

辻尾クラブアンバサダー

能登について

岡田:「地元」というキーワードでいうと、やはり能登へは引き続き目を向けていきたいですね。昨年は選手やスタッフのみなさんでボランティアに行かれてましたが、今年も継続されるんでしょうか。

辻尾:復興支援は今年ももちろん継続します。どういうやり方が能登のみなさんにとってよいのか模索しながらではありますが、継続的な募金活動をはじめ、中断期間に選手とクラブスタッフ全員で能登へ伺うなど、引き続き石川県のクラブとして積極的に関わっていきたいと考えています。

被災地訪問は 7/27 に行われました

岡田:ツエーゲンはクラブ名に「金沢」という冠が付いていますが、ホームタウンは石川県全体ですもんね。

辻尾:そうです。加えて、今シーズン途中から石川県出身の辻田真輝さんが監督に就任しました。クラブの OB でもあり、アカデミーを指導してきた辻田監督がクラブを引っ張っていくというのは地元にとっても大きな意義があるんじゃないかと感じています。

岡田:本当にそうですね。辻田監督で昇格したいです。

20周年、そしてクラブの成長

岡田:クラブに話を戻すと、Jリーグのシーズン移行という意味でも今年は本当に重要ですね。

辻尾:まさに。2026年が現在の春秋制から秋春制に移行する節目の年なので、昇降格がない約半年間を含めて、同じカテゴリーで約 1.5 年戦うということになります。どのカテゴリーにいるかで収入面でも大きく違いが出てくると思いますし、その先に J2 があるのか J3 があるのかで強化の打ち手も変わってくるかもしれません。

岡田:編成への影響は大きそうですよね。しかも来シーズンは確かクラブ創立 20 周年だったと思います。節目の年に昇格できていると色々捗るのでは⋯

辻尾:本当におっしゃるとおりで、昇格するとしないでは大きな差なので、クラブ一丸でがんばりどころです。

岡田:先ほど昨年の収益の話が出ましたが、クラブの規模は 2024 年で一気にジャンプアップしました。これまでずっと 8−9億あたりだったのが、一気に12〜13億円の規模まできています。

辻尾:もう少し上積みできれば、J2 上位、そして J1 を狙える段階も見えてくると思うので。

岡田:3 年前の天皇杯王者で一昨年 ACL を戦ったヴァンフォーレ甲府も、J1 初昇格で頑張っているファジアーノ岡山も、どちらもだいたい20億円くらい。以前はケタ一つ上でしたが、今は目指してもおかしくないところまできました。

辻尾:そういったクラブもあるので、夢じゃなくなってきたなと感じています。

岡田:一方で、近年は各クラブの底上げが激しいですよね。少し前まで J2 のボトムは 8 億円くらいでしたが、今は 10 億になり、早々に 12 億から 15 億円程度まで上がっていってもおかしくありません。J3 もこの 1 年でリーグの平均収益が一気に 2 億円ほど引き上がりました。Jリーグ全体がボトムアップしていく中で、ツエーゲンが J1 を狙える規模を目指していくとなると、まずはしっかりホームで勝てる雰囲気を作って、地元の期待に応えていくことが大事になってくるんだなあと改めて思います。

辻尾:まさにそうですね。

岡田:今シーズンの後半戦、スローガンのとおり「力戦奮闘」する選手たち、クラブのみなさんを私も微力ですがサポートさせていただきます。本日はありがとうございました!

2025年のスローガンは「力戦奮闘」

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